「今の会社を辞めたい。でも、いま動いていいのだろうか」
賞与の支給月、仕事の区切り、家族の予定。考えるほど、ちょうどよい時期が見つからなくなりますよね。「転職するなら何月が有利か」と検索したくなる気持ちも分かります。
ただ、情報を集め始める日と、退職する日は別に決めて構いません。求人を見たからといって、すぐ応募したり会社を辞めたりする必要はないのです。
ここでは、退職前に確認したい五つの材料と、入社希望日から逆算する方法を整理しました。読み終えたら、まず「今週確認すること」を一つ決めてみてください。
退職前に確認したい5つの判断材料
時期だけを先に決めると、準備をその日付に無理やり合わせることになりがちです。次の五つを見て、動ける部分と、先に整えたい部分を分けましょう。
| 判断材料 | 自分に聞いてみること | 次にすること |
|---|---|---|
| 心身の状態 | いまの働き方を続けられる状態か | 不調が続くなら、休養や相談を先に考える |
| 経験・実績 | 希望する仕事に使えそうな経験は何か | 求人一つと、自分の担当業務を並べる |
| 現職での改善余地 | 異動や業務調整で困り事を変えられるか | 相談できる相手と、確認したい期限を決める |
| 収入と生活 | 転職後の条件や、収入が途切れる期間に対応できるか | 毎月の支出と使える資金を書き出す |
| 活動の準備 | 応募・面接・引継ぎに使える時間はあるか | 候補日をカレンダーに仮置きする |
全部がそろうまで動けない、という表ではありません。書類は準備できるけれど面接は来月から、という進め方もあります。
「辞めたい」が強いときは、休む話と転職の話を分ける
朝になるとつらい、眠れない、仕事のことを考えると体調が崩れる。そんな状態で応募書類まで整えようとするのは、負担が大きいでしょう。
不調が続くなら、医療機関や産業医などに相談し、休養や勤務の調整を先に考えてください。転職活動を進めるかどうかは、そのあとに決める方法もあります。
「在職中の活動がよい」と言われても、無理を続ける理由にはなりません。休職制度の有無、相談先、生活費の見通しを一人で抱え込まず確かめたいところです。
一方、一度の出来事で気持ちが大きく揺れている場合は、「何が起きたか」「それが続いているか」「何が変われば働き続けられるか」を短く書いてみましょう。辞めたい気持ちを否定せず、問題を具体的にするためのメモです。
経験が増えたときは、まず求人と照らし合わせる
新しい仕事を任されたり、資格を取ったりすると、外でも評価されるのではと考えますよね。ただ、資格や役職が一つ増えたことだけで、年収アップが決まるわけではありません。
希望する求人を一つ開き、「入社後に任される仕事」と「自分が実際に担当した仕事」を並べてみてください。両方に重なる業務があれば、その経験を説明する材料を集められます。
たとえば「後輩指導の経験がある」なら、何を教え、どこまで任され、困ったときにどう対応したか。人数や期間は確かめられる範囲で添えれば十分です。
反対に、要件の多くが未経験なら、いまの職場で近い仕事を担当できないか考える余地があります。学習を始める前に、その知識が応募先で必要なのかを確認しておくと、準備の方向がずれにくくなるでしょう。
現職の将来が不安なら、残る場合も具体的に調べる
「会社の業績が悪いらしい」「AIで自分の仕事がなくなるかもしれない」。先の話ほど、確かめられない不安も混ざります。
まずは、分かっている事実と予想を分けましょう。部署の縮小が決まったのか、うわさを聞いた段階なのかでは、次の動き方も違います。
異動や仕事の変更を相談できるなら、その可能性も比較材料です。「いつまでに何が分かれば残る判断ができるか」を決めておくと、待ち続けるだけにならずに済みます。
外の求人も同時に見て構いません。いまの会社を離れるかどうかは、選択肢の中身が見えてから考えてみましょう。
年収を上げたいなら、求人の上限額より自分への提示条件を見る
同じ職種で高い年収の求人を見つけると、すぐに動きたくなるかもしれません。ただ、「年収400万〜700万円」の上限が、自分への提示額になるとは限りません。
応募条件に自分の経験が合うか、提示年収に固定残業代や賞与が含まれるかを確かめてください。初年度の賞与、通勤時間、勤務日数まで並べると、生活の変化も考えやすくなります。
年収が下がる可能性を受け入れて新しい仕事に挑戦する場合もあるでしょう。そのときは「どこまで下がっても暮らせるか」を先に数字にしておきたいところです。将来の昇給を確実な収入として見込まず、まず提示条件で家計を考えてみましょう。
転職に有利な月を待つより、応募できる求人を確かめる
年度替わりなどに合わせて採用する企業はあります。ただ、職種、地域、欠員の状況によって募集時期は違います。「1〜3月や9〜10月なら有利」と一律には決められません。
希望に合う求人が出ているなら、募集期間と入社時期を見てみてください。逆に、求人が見つからないからといって、条件を急に下げる必要もありません。探す職種や地域の幅を見直しながら、定期的に募集を確認する方法があります。
賞与のあとに辞めたい場合
賞与を受け取ってから退職したい気持ちは自然だと思います。支給日在籍などの条件は会社によって違うため、まず就業規則や賞与の規程を確かめましょう。
応募開始まで支給月を待つ必要はありません。採用側が希望する入社時期と、現職で必要な引継ぎ期間が合うかを、選考中に相談しておくという方法もあります。
入社希望月から逆算するスケジュールの一例
次の表は、半年程度の余裕を取れる場合の例です。全員に半年かかるわけではなく、もっと早く進む場合も、長引く場合もあります。採用企業の選考日程と現職の手続きに合わせて動かしてください。
| 入社までの期間 | 進めること |
|---|---|
| 6〜5か月前 | 希望条件を整理し、求人を調べる。応募書類の材料を集める |
| 5〜4か月前 | 応募を始め、面接に使える日時を確保する |
| 4〜3か月前 | 選考を受け、仕事内容や条件を確認する |
| 3〜2か月前 | 内定条件と入社日を確かめ、退職・引継ぎの日程を調整する |
| 2〜1か月前 | 引継ぎ、休暇、退職後の手続き、転居などを進める |
| 入社月 | 入社手続きと新しい仕事への準備 |
4月入社・10月入社を考えるなら
この表に当てはめると、4月入社なら前年10月頃、10月入社なら4月頃から準備を置く形になります。求人が増える時期を当てるためではなく、使える時間を見積もるための計算です。
選考が早く進んだ場合でも、入社日をその場で約束せず、現職の引継ぎや家庭の予定を確認しましょう。転居、保育、介護などの調整があれば、その時間も必要です。
私の場合は、退職を伝えるまでに時間がかかった
私が知名度のある企業を退職したときは、家族や周囲からの反対もあり、意思を固めて伝えるまでに想定より時間がかかりました。書類や面接だけの予定では収まらなかったのです。
誰もが同じように反対されるわけではありません。ただ、生活に影響を受ける人との話し合いが必要なら、カレンダーにその時間も置いておくとよいと思います。
退職を伝える手順は、退職の切り出し方|引き止め・有給消化・引継ぎの対処法にもまとめています。
30代・40代は、年齢の節目だけで期限を決めなくてよい
「35歳になる前に」「40歳を過ぎたら遅いのでは」。区切りが気になることもあるでしょう。ただ、求められる経験は求人ごとに違います。年齢の不安だけで、合わない仕事への入社を急がないでください。
30代でも40代でも、管理職経験が必要な求人もあれば、担当業務の専門性を求める求人もあります。役職がないなら応募できない、と自分で決める前に、募集要件を読んでみましょう。
短期離職が続いている場合も、回数だけで理由をひとまとめにしないことです。それぞれの退職理由と、次の職場で同じ困り事を避けるために確認したい条件を整理しておけば、説明や質問の準備につながります。
在職中に進めるか、先に離れるか
働きながら活動できる状態なら、収入を保って比較できるのが利点です。希望に合う求人がなければ、現職で働き続ける選択肢も持てます。
ただ、面接の日程を取れないほど忙しい、心身の不調が続いている、といった事情もあるはずです。在職中かどうかだけで「正しい進め方」を決めないようにしましょう。
先に退職する場合は、生活費だけでなく保険・年金・税金などの支出や、手続きの時期も確認しておきたいところです。何か月活動できるかは、貯蓄額ではなく毎月の支出と一緒に考えてください。
今日決めるのは、退職日でなく「次に確かめること」
迷っている段階なら、メモを三つの欄に分けてみてください。
- いま困っていること
- そのうち、現職で変えられそうなこと
- 外の会社について確かめたいこと
「通勤を短くしたい」なら勤務地を絞って求人を見る。「経験が通用するか知りたい」なら、求人一つと担当業務を並べる。第三者に相談する場合も、知りたいことが一つあれば話を始められます。
動き始めることは、退職を約束することではありません。残る場合も含めて、自分が選べる材料を少しずつ増やしていきましょう。
相談先を探したい方へ:厚生労働省「こころの耳」の相談窓口案内


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